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2015年03月15日

クロスアーツミーティング第2回参加報告

「【クロスアーツミーティング】アートとテクノロジーの新たな交流に向けて」の第2回に参加しました。

概要


Facebookイベントのページから引用します。

鴨江アートセンターではアーティストとエンジニアの交流会「クロスアーツミーティング」の第二回を開催します。

第一回は、参加者同士の懇談や、ナビゲーターの活動紹介などを実施。
第二回となる今回は、アーティスト、エンジニアのみなさんそれぞれの作品や技術をもちよっていただき、お互いに紹介することによっておこる、未知なる化学反応を期待しています。

「ちょっと興味あるな」という方、アーティストのみなさん、エンジニアのみなさん、「こんなこと試してみたい」「新しいアイディアが欲しい」という方、お気軽にお集まりください。

※作品・技術をお持ち寄りいただける方は、事前にお申し出いただいた上で当日ご持参下さい。事前準備が必要な場合などありましたら、なんでもご相談ください。

※飛び込みのLT(ライトニングトーク)も大歓迎です。

要するに、技術者やデザイナー、アーティストの交流イベントのようです。

自己紹介


会場の鴨江アートセンターに少し遅れて着くと、30人程の参加者が大きな円になって自己紹介をしている途中。受付で500円支払って名札を作成。技術者とデザイナーで色が黄緑に分かれていて、技術者の青を選択。意味もなく緊張しながら自己紹介をしました。青と黄緑の比率は半々で、学生から高齢の方までいました。

(後々になって、青と黄緑がIngressっぽいことに気がつく)

自己紹介が終わると、しばらく歓談の時間。開始時刻が18:00と夕飯時なので、飲み物と軽食、お菓子が用意されていました。ありがたい。軽食は手作り感のあるハンバーガーでチキン竜田と白身フライがありました。すごい。
特に話しかけるとかはせずに様子見。

プレゼンタイム


しばらくしてプレゼンタイム開始。今日は全体的に「音」系の発表が多かったです。

音の視覚化


1つ目は音から映像を作り出すデモで、Roland社の電子打楽器・HandSonickを使った演奏。今日見たHandSonickは多分これ → Roland HandSonic HPD-20 http://www.roland.co.jp/products/hpd-20/ 演奏に合わせて波形や写真などがリアルタイムに描画されていきました。スクリーンになる白い壁とプロジェクタの間に演奏者が立っていて、その影が良い雰囲気を出していました。
 後でお尋ねしたところ、HandSonickの演奏情報をWeb MIDI APIで受け取ってJavascriptでCanvasに描画していたとのことでした。電子楽器の演奏データというと低レイヤな印象がありましたけど、身近なWebの技術で簡単に扱えてパフォーマンスに利用できるのは凄いと思いました。

音像


2つ目は「音像」という概念に関する話とデモでした。「音像」という言葉が紹介された時、初めは独自の概念かなと思いましたが、実際には「音の方向や距離が感じられる音の再生」を指す言葉のようです。音の大小・高低・波形といった、音のデータ的な側面と区別するコンテキストで「音像」が説明されていました。
 デモでは、この「音像」を体験するために、スピーカーが埋め込まれた特殊な帽子を参加者がかぶって、その様子をリアルタイム実況してもらっていました。周囲にいる人には全く聴こえないのですが、かぶった人にはあらゆる方向から色んな音が聴こえてくるようで、その温度差が見ていてシュールな図でした。

音源


3つ目はヤマハの組み込み用のボカロ音源を使った歌うパペットのデモ。ボカロ音源はこういうの→http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1310/23/news129.html 手にはめて口をパクパクさせたタイミングに合わせてミクの声が再生。そのまま手首を小刻みに振ると、加速度センサーが震えをキャッチして歌声にビブラート。ハッピーバースデーの曲を演奏していました。
 仕組みとしては、センサのデータをマイコンに送って、ボカロ音源チップの載った基盤に演奏情報を流し込むものでした。

語り


4つ目は「ムラキング」こと村木大峰さんによる即興詩で、「換気扇」をお題に詩を披露してくださいました。
 ここからは個人的な感想ですが…僕達は換気扇についてよく知っているはずだし、それを「説明」するのは簡単だけど、詩として「語る」行為とは違う。なぜなら、僕達は換気扇を「物格」的な目で観察しているに過ぎなくて、「語る」には「人格」的な観察目線が必要になってくるからです。例えば友達に誰かを紹介するとして、「この人は○○です」「この人は○○でした」みたいな説明を滔々と繰り返すことってほぼないでしょう。そうではなく、その人と自分がどのようにして会って、どんな人間だったのかという物語に仕立てた「語り」が通常でしょう。その前提条件として、自分と相手に対等な「人格」が必要になってきます。ムラキングさんが凄いのは、換気扇を「人格」的な視点で観察して、それを即興で語れるスキルを持っていて、なおかつオーディエンスにギャップをアート的、詩的な効果として与えられることなんですよね。(いや初めて見ましたけど)
 ここまで長々と書いてるのは、プログラムを書く人間として、自分が「語り」をするのもそうだし、プログラムに「語り」をさせて人間が親しみやすいプログラムを開発することが大切だよなぁ、と思ったからです。これはいつか別記事で書きたいなぁ。
 今まで知らなかったんですけど、Twitterでサーチ掛けると浜松だとわりと有名っぽい?→ https://twitter.com/search?q=%E3%83%A0%E3%83%A9%E3%82%AD%E3%83%B3%E3%82%B0&src=typd ちょっと追っかけてみたくなりました。

ノイズ


5つ目はノイズ、雑音の話とデモ。ライブハウス窓枠関係者だそうです。初めに、何も言わずに子供達の声が聴こえる音声を鳴らして、同時に電子サイレンや携帯電話のメロディやバードコールをマイクに近づけてひとしきり鳴らしたあとに「意味不明ですよね」と言って会場に笑い。非音楽・反音楽、楽しまないための音楽としての「ノイズ」に注目しているそうです。単体では意味すら成さないノイズが、集団性を帯びると意味を生じてくるのではないか。逆に、ポップスやクラシックのように完成された音楽でも深夜の住宅街に鳴らすとただの騒音になってしまうように、音楽の快楽性が状況的に決定されるのではないか。みたいな話をされていました。

プレゼン終了後にまた歓談タイム。

ワークショップ


その後、「見たことのない表現」をテーマにワークショップ。6人のファシリテータが座るテーブルに参加者が分かれて、大判紙・付箋・水性ペンを使ってブレスト。15分程度して参加者だけ別のテーブルに移動してブレストした後に発表。真面目に書くと文章量増えそうなのでまた別の機会に書いてみようと思いますが、「人工知能による非人間的な表現」とか、「普段行っている知覚をずらす(嗅覚を視覚的に表現するなど)ことによって」とか、「伝えたいことを伝えるための手段」とかいった結論が出ていて、難しいテーマだったにしてはよくまとめられていたと思いました。

みたいなことをして3時間のプログラムが終了。

感想


技術者の身からすると、デザイナーという存在が特異なんです。理系から見る文系みたいな。これはデザイナーの言っていることがまるで分からないと言いたいのではなくて、技術者をやっていると獲得が難しい感覚や物の見方・捉え方、センスをデザイナーの皆さんは持っていそうだ、ということです。
 あと、今日ちょっと気付いたのは、技術が表現の手段であるのに対して、アートは表現に生じた意味である、といことです。音の可視化のデモで言えば、あれは電子楽器とWeb MIDI APIを表現の道具にしていて、結果として生まれるのはただの映像だけど、そこにまとわりつく雰囲気や情緒があるかのようにオーディエンスは感じ取って、それがアート的な効果なのかなぁと。
 今日考えたことは卒研で開発しているWebシステムに生かしていけたらいいなと思います。とまぁ、色々と発見があって楽しかったです。次回は5月らしいので、楽しみにしています。イベントについて詳しく知りたい人は、Facebookの鴨江アートセンターを時々チェックすると良いでしょう→ https://www.facebook.com/kamoebekkan.artlab では。




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